障害者雇用納付金とは、法定雇用率を達成していない企業が、不足する障がい者1人につき月額5万円を納める制度です。対象は従業員100人を超える企業で、納めた納付金は雇用が進んでいる企業への調整金などの財源になります。「払えば義務を果たしたことになる」と誤解されがちですが、納付金を払っても雇用率は改善しません。この記事では、納付金の金額や計算方法、対象企業、申告の流れを整理し、納付し続けるのと雇用を進めるのとでどちらが合理的かを考えます。
▼本記事でわかること
- 障害者雇用納付金制度の目的と仕組み
- 対象企業と金額
- 申告・納付の流れと、雇用を進める判断の考え方
最終更新日:2026年3月2日
記事を読むことで、障害者雇用納付金の仕組みと対応を理解し、障がい者雇用を進める第一歩を踏み出せます。
障害者雇用納付金とは|制度の目的と仕組み
障害者雇用納付金は、企業間で障がい者雇用の負担を調整するための制度です。まずは制度の目的と全体の仕組みを押さえましょう。
障害者雇用納付金制度の目的
障害者雇用納付金制度は、障がい者を雇うことは事業主が共同で果たすべき責任だという考え方に基づいています。障がい者を雇用するには、設備の改善や職場環境の整備など経済的な負担が伴います。そこで、雇用が進んでいない企業から納付金を集め、雇用に取り組む企業へ調整金や助成金として再分配する仕組みがつくられました。企業間の経済的な負担を公平にならすことが、この制度の目的です。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
納付金・調整金・報奨金の関係
この制度は、納付金・調整金・報奨金の3つで成り立っています。立場によって、納める側か受け取る側かが変わります。
▼3つの制度の関係
| 区分 | 対象 | 内容 |
| 納付金 | 100人超で未達成の企業 | 不足1人あたり月額5万円を納付 |
| 調整金 | 100人超で超過達成の企業 | 超過1人あたり月額2万9千円を支給 |
| 報奨金 | 100人以下で一定数を超えて雇用する企業 | 超過1人あたり月額2万1千円を支給 |
未達成企業の納付金を財源に、雇用が進む企業へ調整金・報奨金が支給される流れです。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
納付しても雇用義務は果たせない
誤解されやすいのが、納付金を払えば雇用義務を果たしたことになるという考えです。納付金はあくまで経済的な負担を調整するもので、納めても法定雇用率の達成にはなりません。雇用率を満たさない状態が続けば、行政指導の対象となり、改善が見られない場合は企業名が公表されることもあります。納付金を払い続けても根本的な解決にはならず、いずれ雇用そのものに向き合う必要があります。
※出典:厚生労働省「令和7年 障害者雇用状況の集計結果」https://www.mhlw.go.jp/content/11704000/001357856.pdf
障害者雇用納付金の対象企業と金額
納付金の対象になる企業と、実際にかかる金額を具体的に見ていきましょう。自社が対象かどうかを判断する材料になります。

対象となるのは従業員100人超の企業
障害者雇用納付金の納付義務があるのは、常時雇用する労働者が100人を超える企業です。100人以下の企業には納付義務がありません。週の所定労働時間が20時間以上の労働者が常用労働者としてカウントされます。自社が100人を超えるかどうかが、納付義務の有無を分ける最初の基準です。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
納付金は不足1人あたり月額5万円
納付金の金額は、法定雇用率に対して不足する障がい者数に応じて決まります。不足1人あたり月額5万円で、これを12か月分納める形になります。たとえば3人不足している場合、月15万円、年間で180万円の負担です。この180万円は利益として失われる金額であり、決して小さくありません。不足が多いほど負担も比例して増えていきます。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
納付金額の計算方法
納付金額は、年間の不足人数をもとに計算します。各月の初日における障がい者の不足数を1年分合計し、その合計に5万円を掛けて求めます。月ごとに雇用状況が変わる場合は、毎月の不足数を正確に把握する必要があります。途中で退職者が出た月なども含めて計算するため、年間を通じた雇用状況の管理が欠かせません。正確な計算には、月単位での記録が前提になります。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
障害者雇用納付金の申告と納付の流れ
納付金は、企業が自ら申告して納める仕組みです。期限や手続きを誤ると不利益が生じるため、流れを正しく理解しておきましょう。
申告・納付の期間と方法
障害者雇用納付金の申告は、毎年決まった期間に行います。常時雇用する労働者が100人を超える企業は、前年度の雇用状況に基づいて申告と納付を行う必要があります。申告期間は毎年4月1日から5月15日までで、電子申告申請システムなどを使って手続きします。前年度4月から本年度3月までの雇用状況を集計するため、年度を通じた記録が申告の土台になります。期間が短いため、早めの準備が大切です。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金」https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html
申告を怠った場合のリスク
申告や納付を怠ると、企業にとって不利益が生じます。納付が遅れれば追徴金や延滞金が課されることがあり、本来の金額より負担が増えます。さらに、調整金や報奨金を受け取れる立場の企業でも、申請が期限を過ぎると受給の権利が消えてしまいます。期限を守らないと余計な出費や機会の損失につながるため、スケジュール管理を徹底することが欠かせません。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金」https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html
納付金を払い続けるか障がい者雇用を進めるか
納付金を毎年払い続けるのと、障がい者雇用を進めるのとでは、どちらが企業にとって合理的でしょうか。コストと実態の両面から考えます。
納付金と雇用コストの比較で考える
納付金を払い続けるか雇用を進めるかは、単純なコスト比較だけでは決められません。納付金は不足1人あたり年間60万円の支出ですが、これは何も生み出さない費用です。一方、障がい者を雇用すれば人件費はかかるものの、その分の労働力が得られ、調整金や助成金の対象にもなります。さらに雇用率の達成という法的な要請も満たせます。長期的に見れば、納付金を払い続けるより雇用に取り組む方が合理的な場合が多いといえます。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
雇用が難しい場合の現実的な選択肢
とはいえ、自社で障がい者を雇用する体制づくりに時間がかかる企業も少なくありません。任せる業務が見つからない、受け入れ部署の準備が整わないといった事情もあるでしょう。そうしたときは、障害のある方を雇用して業務を請け負う事業者を活用する方法があります。たとえば株式会社Agakiは、障害のある方を自社で雇用し、動画制作やEC運営、採用業務などを代行しています。国の支援を活用して雇用しているため費用を抑えやすく、業務を委託しながら社会貢献にもつながる点が特徴です。
納付金を払い続けても雇用率は改善せず、毎年の支出だけが続きます。一方で、動画制作やネット通販の運営、採用業務など「社内でやりたいが専任を置くほどではない」業務は、外部に委託する方が現実的な場合があります。これらを内製のまま抱えると、担当者の負担が増え、本業に集中できなくなりがちです。障害のある方を雇用してBPOを担うAgakiに委託すれば、質を保ちながら業務を進められ、障がい者雇用の社会的な意義にも関われます。納付金の負担に悩む前に、選択肢として確認してみてください。
よくある質問|障害者雇用納付金
障害者雇用納付金はいくらかかるのか
障害者雇用納付金は、法定雇用率に不足する障がい者1人につき月額5万円です。年間では1人あたり60万円となり、不足人数が増えるほど負担も比例して大きくなります。たとえば5人不足していれば、年間300万円の支出です。これは利益から差し引かれる費用であり、経営への影響は小さくありません。自社の不足人数を把握し、負担額を試算しておくことが大切です。

※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金制度の概要」https://www.jeed.go.jp/disability/about_levy_grant_system.html
障害者雇用納付金の納付はいつまでか
障害者雇用納付金の申告と納付は、毎年4月1日から5月15日までの期間に行います。前年度4月から本年度3月までの雇用状況をもとに算定し、機構へ申告します。延納の制度もありますが、いずれにせよ期限を過ぎると追徴金や延滞金の対象になります。年度替わりの繁忙期と重なるため、計画的に準備を進めておくと安心です。
※出典:独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構「障害者雇用納付金」https://www.jeed.go.jp/disability/koyounohu/index.html
障害者雇用納付金の勘定科目は何か
障害者雇用納付金の会計処理では、租税公課や法定福利費などの勘定科目で計上するのが一般的です。ただし、企業の会計方針によって扱いが異なる場合があります。税務上の取り扱いを誤ると後で修正が必要になることもあるため、判断に迷う場合は顧問税理士に確認するのが確実です。正しい科目で処理することで、決算時の混乱を防げます。
まとめ|障害者雇用納付金は雇用を進める前提で考える
障害者雇用納付金は、法定雇用率を達成していない企業が負担する費用で、納めても雇用義務を果たしたことにはなりません。
▼この記事のまとめ
- 納付金は従業員100人超で未達成の企業が対象、不足1人あたり月額5万円
- 申告は毎年4月1日から5月15日まで、期限超過は追徴金の対象
- 納付し続けるより雇用を進める方が合理的な場合が多い
障害者雇用納付金を毎年払い続けても、雇用率は改善せず支出だけが続きます。一方で、自社で障がい者を雇用する体制をすぐに整えるのが難しい企業も少なくありません。動画制作やEC運営、採用業務といった「専任を置くほどではないが手が回らない」作業を社内に抱えると、負担が増えて本業を圧迫しがちです。障害のある方を雇用して業務を請け負うAgakiに委託すれば、質を保ちながらコストを抑え、社会貢献性も両立できます。納付金の負担を見直す一つの方法として、検討してみてはいかがでしょうか。