制作補助会社:株式会社メグダイ

発達障害があると就職が難しいと感じている方は少なくありません。しかし実際には、2018年の障害者雇用促進法改正により、発達障害を含む精神障害者の雇用数は急増しており、多くの企業が積極的に採用を進めています。

本記事では、発達障害と就職について解説し、特性を活かせる仕事の見つけ方や企業選びのポイントを紹介します。

最新の雇用状況や就職率のデータをもとに、ASD・ADHD・LDそれぞれの特性が活きる職種を具体的に解説します。

▼本記事でわかること

自分の強みを理解し、適切な支援を受けることで、安定した就労を実現できる可能性は十分にあります。

 発達障害者の就職状況と現状

発達障害者の雇用環境は、法制度の整備や社会的認知の広がりにより大きく変化しています。2018年の障害者雇用促進法改正以降、企業の採用意欲は高まり続けています。最新のデータや企業の動向を見ると、就職のチャンスは確実に広がっています。

 雇用数と就職率の最新動向

厚生労働省の令和5年度障害者雇用実態調査によると、従業員規模5人以上の事業所に雇用されている発達障害者は91,000人で、5年前の調査と比べて52,000人増加しています。また令和5年の障害者雇用状況の集計結果では、精神障害者の雇用数は130,298人で前年度比18.7パーセント増加しました。

一方で、厚生労働省の統計によれば、発達障害を含む精神障害者の就職率は43.9パーセントとなっています。健常者の98パーセントと比較すると低い水準ですが、求人数は前年から1割増えており、企業の採用意欲は高まっています。

▼発達障害者の雇用状況

項目データ
雇用されている発達障害者数91,000人(5年前比+52,000人)
精神障害者の雇用数130,298人(前年度比+18.7%)
就職率43.9%

 企業の採用意欲が高まる背景

2018年4月の障害者雇用促進法改正により、発達障害を含む精神障害者も雇用義務の対象となりました。一定以上の規模を持つ企業は、法定雇用率を満たすために障害者を雇用する必要があります。

令和5年度障害者雇用実態調査では、実雇用率は12年連続で過去最高の2.33パーセントを記録し、法定雇用率達成企業の割合も50.1パーセントまで増加しました。企業が発達障害者を採用することで、国から助成金を受け取れる制度もあり、採用のインセンティブが働いています。

障害者雇用に取り組む企業からは、発達障害のある方が物事に熱意を持って取り組む誠実な姿勢や、特定分野での高い専門性を評価する声が聞かれます。

 長期就労を実現できる理由

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、発達障害のある方が就職後に職場に定着している割合は71.5パーセントです。約3割の方が離職していますが、適切な配慮と環境が整えば、長期的な就労が可能であることを示しています。

発達障害者職業総合センターの調査では、就職から1年以内に離職する発達障害のある方の割合は約30パーセントという結果が出ています。特に、特性への配慮と職場環境が整っている場合、勤怠が安定しやすいことが分かっています。

また、身体障害に比べて若年層が多く、長期勤続による成長が期待できる点も、企業にとってメリットとなっています。

 特性を活かせる仕事の見つけ方

発達障害には、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如・多動症)、LD(学習障害)の3つのタイプがあります。それぞれの特性を理解し、強みを活かせる仕事を選ぶことが、安定した就労につながります。

 ASDの特性が活きる職種

ASD(自閉スペクトラム症)は、コミュニケーションや対人関係に困難があり、興味や活動が限定的で反復的な行動が見られる発達障害です。ASDのある方は、規則やマニュアルに沿って働ける仕事が向いています。

臨機応変な対応が苦手な一方で、特定のことに徹底的にこだわり、ずば抜けた集中力を発揮できる強みがあります。具体的には、プログラマーやシステムエンジニア、経理、会計、品質管理などの職種が適しています。

マニュアルがしっかりしている仕事では、手順や時間、場所を明確に伝えてもらうことで高いパフォーマンスを発揮できます。自分の専門性を活かせる分野では、大きな成果を上げることも可能です。

▼ASDの方に向いている職種

職種カテゴリ具体例
IT関連プログラマー、システムエンジニア(下流工程)、データ入力
事務・専門職経理、会計、図書館司書、研究職
技術職品質管理、検査業務、製造ライン作業

 ADHDの強みを発揮できる仕事

ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意、多動性、衝動性といった特性がある発達障害です。集中力の持続が難しい一方で、興味のある分野では高い集中力を発揮します。

ADHDのある方は、好奇心旺盛でエネルギッシュ、行動力があるという強みを持っています。毎日同じことをするのではなく、その日その日で違うことができる職業だと集中力が途切れにくくなります。

クリエイティブ系の職業では、豊かな発想力や独創性が強みになります。向いている仕事としては、企画職、営業職、エンジニア、デザイナー、ライター、マーケティング職などが挙げられます。

 LDの方が活躍できる職種

LD(学習障害)は、知的発達に遅れはないものの、読む、書く、計算するなど特定の学習に著しい困難がある発達障害です。読字障害(ディスレクシア)、書字障害(ディスグラフィア)、算数障害(ディスカリキュリア)などのタイプがあります。

LDのある方は、読み書き計算のいずれか、あるいは全てが極端に苦手という特性がある一方で、口頭でのコミュニケーションや創造的な思考には優れている場合が多く、その強みを活かせる職種を選ぶことが重要です。

文字を読むことが苦手な方は音声による情報収集が、計算が苦手な方は電卓やソフトウェアの活用が有効です。接客業、営業職、クリエイティブ職などが挙げられます。

 就労支援サービスで活躍を実現

発達障害のある方が就職を成功させるには、専門的な就労支援サービスの活用が効果的です。ハローワークには精神・発達障害者雇用サポーターや障害学生等雇用サポーターが配置され、就職準備段階から職場定着までの一貫した専門的支援を実施しています。

地域障害者職業センターでは、職業評価、職業準備支援、職場適応支援などの専門的な職業リハビリテーションを提供しています。また、就労移行支援事業所では最大24カ月間にわたって就労に向けたトレーニングを受けられます。

就労移行支援では、職業スキルの向上だけでなく、障害受容や体調管理、職業診断などのサポートが充実しており、就職活動はもちろん就職後の定着支援までカバーします。キズキビジネスカレッジなどの事業所では、就職率約83パーセント、就職まで平均4ヶ月という実績を上げています。

転職エージェントも有効な選択肢です。dodaチャレンジなどの障害者雇用に特化したエージェントでは、キャリアアドバイザーが面談を通じてその人に合った求人情報を提示し、応募書類の作成や面接対策もサポートしてくれます。

 よくある質問|発達障害と就職

 発達障害の告知義務はある?

発達障害があることを企業に告知する義務はありません。診断が出たからといって必ずしも職場に報告する必要はなく、告知するかどうかは本人の選択に委ねられています。

障害を隠して就労することをクローズ就労、障害を明らかにして就職することをオープン就労といいます。クローズ就労では配慮は受けられませんが、キャリアアップしやすいメリットがあります。

オープン就労では、合理的配慮の提供を依頼でき、自分の特性を理解してもらいやすくなります。業務指示やスケジュールを明確にしてもらったり、作業手順のマニュアルを作成してもらうなどの配慮を受けられます。どちらを選ぶかは、自分の状況や希望する働き方によって判断しましょう。

 障害者雇用と一般雇用の違い

一般雇用枠は、健常者も障害者も対象の雇用枠で、求人数が多く給与も高いメリットがあります。発達障害のある方のうち、ASDの診断がある方の約6割、ADHDの診断がある方の約8割が一般雇用枠で就業しているという調査結果もあります。

障害者雇用枠は、障害者手帳を持っていることが条件で、企業側の障害への理解があるため、合理的配慮やサポートを受けやすいことが大きなメリットです。企業は法定雇用率を満たす必要があり、障害者を雇用することで助成金も受け取れるため、採用に積極的です。

障害者雇用枠では、週20〜30時間の短時間勤務も選択でき、体調管理をしながら働きやすい環境が整っています。配慮を受けながら安定して働きたい方には、障害者雇用枠が適しています。

 就労支援はどこで受けられる

就労支援を受けられる主な機関として、ハローワーク地域障害者職業センター就労移行支援事業所障害者就業・生活支援センターがあります。

ハローワークでは、職業相談や職業紹介、職業訓練の案内を受けられます。地域障害者職業センターでは、職業評価や職場適応援助などの専門的支援を実施しています。

就労移行支援事業所では、原則として最大24カ月間、就労に必要なスキルやコミュニケーション能力を身につけるトレーニングを受けられます。障害者手帳を持っている方や医師の診断書がある方が対象で、約9割の人が無料で通所しています。障害者就業・生活支援センターでは、就業と生活の両面について相談や支援を受けられます。

 まとめ|特性が活きる就職実現

発達障害者の雇用環境は、法改正や社会的認知の広がりにより確実に改善しています。雇用数は増加傾向にあり、企業の採用意欲も高まっています。

自分の特性を理解し、強みを活かせる仕事を選ぶことが、安定した就労への第一歩です。ASD、ADHD、LDそれぞれに向いている職種があり、適切な環境と配慮があれば高いパフォーマンスを発揮できます。

就労支援サービスを活用することで、専門家のサポートを受けながら就職活動を進められます。ハローワーク、地域障害者職業センター、就労移行支援事業所など、さまざまな支援機関があります。

自分に合った働き方を見つけ、充実したキャリアを築いていきましょう。